解体工事の見積もり・依頼の後に費用が膨らんでしまう要因として最も多いものの一つ、地中障害物。
実際に地中を掘り起こしてみないと何が出てくるか分からないため、いくらプロの解体業者さんといえど、地表面だけの調査で確認するのはどうしても困難なものです。
地中障害物とは?
読んで字のごとく、建物の地中に埋没しているもの全般を指します。一般的には浄化槽や便槽などが多いのですが、なかには昔の建物の基礎や廃材、ごみが埋められている場合もあります。
原則として、解体見積もりには地中障害物は含まれません。(「地中障害物(埋設物)は別途」と記載されているのが一般的です。)
どんなものが出てくるの?
■ 瓦・コンクリートガラ
地中障害物として多く発見されるものです。以前の土地所有者の時代に工事を担当した解体業者が、処分費用やその手間を惜しんで埋めてしまった可能性もあります。
■ 岩・石
大小様々ですが、岩石もよく耳にする事例です。
最近の住宅は基礎を深めに掘ることが多いため、以前の建築では問題にならなかった岩が、建築の妨げとなることがあります。
地中に大きな岩が埋まっていることがあります。最近の住宅では基礎工事を行う際に深めに掘ることが多いといわれているので、解体工事後に影響する場合があり、掘り起こして撤去します。
■ 以前の建物の基礎
これから解体しようとする建物以前のものと思われる基礎が残っている場合もあります。今回の建物の基礎でない場合は事前に予期できないものになりますので、追加費用が発生します。
■ その他
古いタイヤや衣類、産業廃棄物、またごく稀に人骨が発見されることもあるそうです。
これらが見つかることは滅多にありませんが、地中から出てくれば障害物となり得ます。解体工事・整地作業の妨げとなる場合には撤去依頼が必要となりますので、小さなものでも追加費用がかかる可能性が大いにあります。
■ 医療廃棄物
注射器などの医療廃棄物が埋まっていることも稀にあるようです。体液の付着した医療器具は感染性廃棄物となり、処分するためには特別管理産業廃棄物処理業許可が必要になりますので、認可を受けた専門の回収業者に回収してもらう必要が生じてきます。
費用は業者によって異なりますが、解体業者から直接回収業者に依頼してもらえる場合や、施主自身で依頼しなければならない場合もありますので、発見された際の対応について事前に相談しておくと安心です。
■ 湧き水
地下に水脈があるような土地を掘削すると水流に変化が起こり、湧き水が出ることもあるそうです。なんとなく神秘的で喜ばしいことのように感じますが、工事中はそうも言っていられません。周囲が水浸しになってしまうほどの水量がある場合は工事に影響が出ないよう排水経路の確保が必要となるため、万単位での費用がかかると思って良いでしょう。
■ 浄化槽
結構な大きさであることがほとんどのため、撤去作業に加え、浄化槽があったスペース分を穴埋めする土を新たに用意しなければならないことがあります。 その分金額もかさみますので注意が必要です。
地中障害物を事前に調べる方法はあるの?
事前に100%の正確性を持った判断をすることは難しいものの、方法が無いわけではありません。
建物の設計図面など、当時の埋設物について記載されている可能性のある資料が手に入ればそれを元にアタリをつけることができます。さらに当時の関係者やその土地に詳しい人物との連絡がつけば、聞き込みによって有力な情報が得られることもあります。
その上で、現地調査での埋設地点の確認を行います。
そこから位置を特定し、その場所の深さや埋設物の量・内容を調べることになるのですが、これが建築前の段階であれば工事初期に建設予定範囲内をユンボ等で掘ること(ボーリング調査)もある程度簡単にできましょうが、これから建物を壊して最後に整地を行う「解体工事」の場合には(庭等が広大な場合を除いて)残念ながら不可能です。
いずれにしても、解体業者さんへ「着工前」にこれらの調査をお願いすることはまず出来ません。過去の資料や土地に詳しい人脈などの「情報の欠片」も手に入らないような場合には、「事前に地中障害物が出てきた場合の心の余裕(+資金の余裕)を持っておく」、というのが最終的にもっとも確実な地中障害物対策ということになるでしょう。
まとめ
何が出てくるか未知数であるため、確実な見積もりを出すことができない地中障害物。
ぱっと見の見積もり金額が格安だったとしても、イレギュラー対応に慣れていない解体業者は障害物に対して必要以上に高額な追加請求をしてきたり、対応力が乏しければ途中で工事を放棄してしまう可能性も残念ながらゼロではありません。
万が一工事中に何かが出てきた際に法外な料金を請求されないよう、しっかりと事前の説明をしてくれるなど信頼のおける解体業者さんに工事を依頼することが、出費を抑える一番の近道でしょう。
解体サポートからご紹介させていただく業者さんには、(地盤が緩いなど特別な事情がある場合を除き)整地の際に深さ30~50cmは重機で掘り起こして地中を探り、大きなガラを残さないようにお願いしておりますので、「解体工事後に何かが埋められていた!」ということはまず有り得ません。
また、当然ながら「法外な請求」「途中放棄・蒸発」とは無縁ですので、安心してご相談下さい。