「仝上」?「人工」?「NET金額」?? 解説します!解体見積もり書の難解用語5選
解体工事に限らず、専門業者の「見積もり書」では、普段触れることのない単語が使われるケースがままあります。一枚の見積もり書の中に、少なくとも一つは「これってどういう意味?」と疑問に思う単語があるのではないでしょうか。
この記事では、特に「解体工事見積もり書の項目として頻出する」単語の中から、初見では難解と思われる専門用語をいくつかピックアップして解説していきます。
※必ずしも“解体業界だけ”の専門用語ではないものも混在していますのでご了承ください。
★見積もり書の頻出ワードに限定せず、解体工事全般の専門用語を広く勉強されたい方は解体サポートHP内「解体用語辞典」も是非ご覧ください。
その1:「仝上」
ぱっと見では読み方の見当すらつかないかもしれません。
読み方は「どうじょう」で、意味はそのまま「上記と同じ意味」ということを示す「同上」と同じです。(仝上の「仝」は「同」の古字となります。)
2019年現在、一般的には滅多に目にすることのなくなった古い漢字ですが、建設業界の見積もり書などでは未だこの表記が用いられることがあるようです。
お使いのPCの環境によっては「どう」や「どうじょう」で変換しても「仝」の字が出てこない場合もあるため、より一層情報に辿り着きにくくなっているようです。
その2:「養生(ようじょう)」
「養生する」といえば、世間一般的には「摂生する(健康の増進をはかる)・保養する」、といったニュアンスで使われる言葉ですが、解体工事の見積もり書にも必ずと言っていいほどこの「養生」という単語が登場します。
単に「養生一式」と書いてあったり、「道路鉄板敷き養生」「足場単管・養生シート」など他の単語と組み合わされていることもありますが、いずれも「取り毀す建物全体や(建物への進入部分の)道路、足場パイプ等を養生する=建物内外の破損や近隣住宅・通行人への被害を防止するためにクッション材やシート・パネル等で保護する、という意味になります。
隣家との距離があまり確保できない立地での解体工事では、特にこの「養生」の作業が近隣対策において最重要と言っても過言ではない作業ですので、必然的にほとんどの見積もり書で目にする単語ということになるのです。
ちなみに、ホームセンターなどで「養生テープ」として売り場に並んでいる、貼ってはがせる白や緑の半透明なテープも後者の意味での「養生」にあたります。シート等の一時的な仮止めに使用したり、塗装の際にマスキングテープのような使い方も出来たりと、大変便利な商品ですよね。
その他、引っ越し業界・不動産業界・リフォーム業界でも同様に「養生」の言葉が用いられていますが、厳密な意味は違えど「(対象物を)囲い/覆い守る」という意味では同類の言葉であると解釈してよいでしょう。
その3:「架け払い/架け払し」
「かけばらい/かけばらし」とは、足場の「設置(カケ)から撤去(バラシ)」までの作業を指す言葉で、足場関連の業界用語です。
※「足場」とは「高所作業のための足がかり」というのが主たる意味合いですが、丸太や単管パイプを組んで建物を囲うもの(直接人が乗って作業しないもの)でも足場と呼びます。養生シートもこの足場に括り付けて固定します。
“足場を組み立てるだけ”が足場架設工事ではなく、組み立てが終わった後の足場の解体・撤去までを全て含んだワンセットの作業となります。
架け作業・バラし作業ともに建物本体工事に付随する作業ですので、あまり時間をかけてはいられません。極力スピーディに、かつ安全を保った効率的な作業が求められる工程です。
その4:「人工(人夫)」
「人工(にんく)」とは、現場にあたる人(職人や作業員)が一日で作業できる仕事量の単位のことで、平たく言うと「職人一人あたりにかかる一日分の人件費」です。
たとえば一人で3日間かけて作業を終えた場合は「3人工」、二人で3日間かけて作業した場合は「6人工」となります。計算方法としては「人数×日数」ということになりますね。
半日作業の場合、例に倣えば「0.5人工」や「1/2人工」となりますが、「半人工」という呼称で表すこともあります(半人工の作業を2人で行えば、2×0.5で「1人工」の作業になります)。
解体工事の見積もり書の中では、主にガードマンや交通誘導員といった独立した一人の作業員について「人工」の単位が用いられるパターンが多いようです。
※解体・撤去、積込といった作業の単位として「人工」が使われても何らおかしいことはありませんが、これらの工程では現場条件によって作業量が大幅に変わってくるため、「解体工事そのもの」の計算単位には便宜上、容積や面積ベースでの計算が適用されることがほとんどです(カーポートや車庫など、全体として1~2人工で済むような解体作業の場合は「一式◯人工」、などと表記されるケースもあります)。
※似た用語として「人夫(にんぷ)」という単語もありますが、これは「肉体労働者の総称」として一昔前に使われていたもので、現在ではほとんど使われなくなった言葉となっています。(大工や左官など、専門的な技術を要する職人を「人工」、主に力仕事を担当する土木作業員を「人夫」として区別するという側面もあります。)
ただし、「その1」でご紹介した「仝上」と同様に、解体業界・建設業界では未だに通常の単位として使われているケースも時折見られます。見かけた場合は。「人工」と同義であると解釈して差し支えないでしょう。
その5:「NET金額」
業界によって定義がまちまちである用語の一つ、「NET金額」。解体業界でもまれに見積もり書に記載されていることがあります。
これは少々厄介な用語で、業界や個々の業者単位でも使い方が異なる場合があり、説明なしにただ「NET」と書いてあるだけでは本当の意味が把握できないため、本来 見積もり書の中で積極的に使用すべきでない項目と言えます。
意味合いとしては、「値引き価格など諸々を差し引いた上での『最終価格』」、「値引きの限界ライン『最低価格』」、「(他社等が関わっている場合)かかった手数料などを含まない純粋な『工事原価』」といったものがあります。
もし見積もり書の中で特に説明なく「NET金額(ネット金額)」の項目が出てきたら、まずはその見積もり書を提示してきた業者に意味を質問してみると良いでしょう。特に「最低価格」という意味でNETを記載している業者であった場合、話の流れで価格交渉→コストダウンに繋がる可能性があります。
まとめ
解体見積もり書に登場する難解用語、いかがでしたでしょうか。
今ひとつ意味が掴めず、気になっていても「それだけのために連絡するのはちょっと気が引ける…」という方の手助けになれば幸いです。
解体サポートでは、この他にも「解体業者さんに直接は聞きにくいこと」に関するご質問・ご相談を承っております。
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