リフォームに伴うトイレの解体工事

生きている限り、日常生活からは絶対に切り離すことができない「トイレ」。毎日使うだけに、その状態や使い勝手が悪くなれば見過ごすことはできませんよね。あまりにも年季の入ったトイレだと、思い切ってリフォームを考えることもあると思います。

トイレには和式・洋式といった種類がありますが、いずれのタイプであってもリフォームの流れには共通した項目がいくつも見られます。

今回は、そんなトイレの解体・リフォームの費用や工事内容についてご紹介していきます。

トイレ(便器)の種類

まずは日本の主なトイレの種類をご紹介します。

和式トイレ

日本で最も歴史のあるトイレで、学校や古い公共施設などに多い「しゃがんで用を足す」タイプのものです。現代では排泄物を水で流す水洗式便所が主流ですが、水の流れない落下式便所(いわゆるボットン便所)も未だ存在しています。

本体には主に陶器が用いられます。

洋式トイレ

大正時代初期に日本に持ち込まれ、1960年代から爆発的に普及したトイレです。その後日本で独自の進化を遂げ、現代では温水洗浄便座(ウォシュレット)や暖房便座、自動ノズル洗浄などといった機能を持つものが一般的になってきました。

タンクと便器・便座が一体化した組み合わせトイレ、タンクを取り払ったシンプルな形のタンクレストイレといった種類があります。

また、和式便器の上に後付けするタイプの簡易的な洋式トイレ(簡易洋式便座/リフォームトイレ)も存在します。

こちらも本体は陶製である場合がほとんどです。(タンクレストイレなど、特殊な樹脂製の便器が用いられるケースもあります。)

トイレの解体・リフォームの工事内容と費用

和式・洋式それぞれの解体・リフォーム方法とその費用をご紹介していきます。

リフォームのパターンとしては、大きく「和式から洋式へ」「(旧)洋式から(新)洋式へ」の2つに分けられますが、「和式→洋式」の場合、洋式トイレに対応するための設備(タンクやコンセント等)を新設する工事や壁工事・床工事が必要となるため、ベースがすでに洋式トイレ仕様となっている「洋式→洋式」のリフォームよりも高額になることが一般的です。(汲み取り式の落下式便所を洋式トイレにリフォームする場合、さらに大掛かりな作業となるため費用はより大きくなります。)

トイレの取り外し方

リフォームの前段階として必要不可欠な既存トイレの取り外し。和式・洋式の別によって細かな部分は異なりますが、基本的な流れ共通しています。

【1】(タンクがある場合)止水栓と水道の元栓をしっかり締め、タンク内の水を排水する

【2】 給水管からタンクを取り外す

【3】 トイレ周囲の床を工具で解体し、本体を取り外す

【4】 排水管をタオルやキャップで覆って臭気の上昇を防ぐ洋式トイレの場合は特有の器具(床フランジ等)の取り外し作業などが入ります。和式トイレの場合、この後にタイルや基礎部分のハツリ工事や洋式トイレに対応するための配水管移設(交換)工事などが入り、解体工事に進みます。

それでは、和式・洋式それぞれのリフォーム工事について、工事内容と費用相場を詳しく見ていきましょう。
※実際の費用や項目は施工業者や地域・個々の条件によって多少前後しますので、ここで挙げる情報はあくまでも一つの目安としてご覧ください。

和式トイレ→洋式トイレへのリフォーム費用

◯解体時の費用
・既存トイレ解体工事(撤去費用含む):約2~3万円

◯設置時・その他の費用
・洋式トイレ取付工事:約4~6万円
・トイレ本体料金:(数万円~数十万円と、機種により大きく変動します)
・電気設備工事:約3~4万円
・給排水配管工事:約5万円前後
・床工事/壁工事:約6~7万円
・その他(廃材処分、クロス張替ほか):4万円~10万円

洋式トイレ→洋式トイレへのリフォーム費用

◯解体時の費用
・既存トイレ解体工事(撤去費用含む):約3~4万円

◯設置時・その他の費用
・新トイレ取付工事:約4~6万円
・トイレ本体料金:(数万円~数十万円と、機種により大きく変動します)
・電気設備工事:約1~3万円
・給排水配管工事:約3万円前後
・その他(廃材処分、クロス張替ほか):4万円~10万円

なお、「トイレ全体のリフォーム」ではなく「トイレ本体の交換のみ」であれば、専門業者に依頼すると数万円の取付費(+トイレ本体の金額)済んでしまうケースもあります。

本体の劣化や使い勝手が気になっているだけなら、まずは本体交換で利便性を上げてから、のちのち全体のリフォームを考えてみても良いでしょう。

トイレの場所を移動したい!は可能?

家全体のリフォームに伴って、家族構成の変化や部屋の配置の問題から「トイレの場所自体を移動したい…」と考えるのはごく自然なことです。しかし、トイレは移動できない、というケースも実は少なくありません。その理由をご説明しましょう。

想像以上に大規模な工事になる

「便器を移動するだけだから簡単でしょう?」とお思いかもしれませんが、トイレがあるということは、その下に排水管も通っているということです。この排水管の移設をするには見かけ以上に大規模な作業が必要となり、そもそも物理的に不可能であったり、費用や手間の面からトイレの移動を断念せざるを得ないというケースが多々発生しています。

もちろん建物の構造やトイレの位置によっては比較的簡単に移動できる場合もありますが、「トイレの移動なんで簡単でしょう?」と思っていた方は、ここでお考えを改めた方が良いでしょう。

マンションでのトイレ移動はほぼ不可能

トイレに限らず、キッチンや台所といった「排水」の出る水回りの移動は、マンションでは特に困難であるとお考えいただいて良いでしょう。

戸建て住宅やマンションの多くは「床排水」という排水方式を採用しています(※壁排水のマンションもあります)が、マンションの場合、この排水方式では下階の天井裏部分に排水管が配管されているため、移設を行うにはその部分を一度解体しなければなりません。しかし、この天井裏というのはマンションの「共用部分」と定義される部分です。共用部分にはむやみに手を加えることができないため、マンションでのトイレ移動は「ほぼ不可能」ということになるのです。

なお、トイレの場所を変えずに、便器の交換や手すり等の設置・空間自体を広くとる工事に関しては、排水管に干渉しないため全く問題ないでしょう。トイレ自体を移動できない代わりに、トイレ周りの環境改善リフォームを視野に入れてみても良いかもしれません。

トイレの解体は普通の解体業者に依頼できる?

今も居住している住宅で、「トイレのみを解体する」という場面は稀かと思いますが、そのような依頼があったとして、工事自体は一般的な家屋の解体業者でも問題なく請け負ってくれることが多いようです。

ただし、通常はリフォームを伴う解体工事となるケースがほとんどでしょう。その場合は当然、解体から設置まで専門の業者に任せてしまった方がスムーズかつ安価となります。

もちろん、解体業者にトイレ解体の見積もりをお願いすること自体は問題ありませんので、リフォームを進める前に「既存トイレの解体工事」の費用を知っておくために見積もりを取得する、といった活用方法も工費節約の手段の一つと言えます。

まとめ

トイレの解体・リフォームについてご紹介しました。

誰でも毎日、最低でも一度は使用するトイレ。リフォームをするなら、当然今よりも使い勝手が良くなるようにしたいものですよね。

自治体によっては、トイレのリフォームに対して減税制度や補助金を用意しているところもあるようですので、ご自身がお住まいの地域でそのような制度が行われていないか、ぜひ一度調べてみてください。(一例:高齢者住宅改修費用助成制度、リフォーム減税など)