《解体小説》空き家編・第三章
第三章 「地元の解体屋“リュウジ”」
それから数日後、「リュウジさん」から電話がかかってきた。
「おう!高橋健一か?サブさんから聞いたぞ。兵吉じいさんの家を解体するんだって?任せておいてくれ。
とりあえず現場はざっと見てきたから、あとで見積もりを送ってやるよ。」
「初めまして。ありがとうございます。ではお願いします。」
初めて話しをするのに随分と馴れ馴れしい感じがする。田舎だからこれもよしとするか……。
その後、メールで送られてきた見積もりがこんな具合。
見積書 | |||
---|---|---|---|
項目 | 単位 | 単価 | 金額 |
解体工事 | 木造平屋25坪 | 一式 | 1,500,000円 |
諸経費 | – | 一式 | 300,000円 |
消費税 | 144,000円 | ||
合計 | 1,944,000円 |
ん~。随分シンプルであっさりしているものなんだな。
家を建てるのは何千万もかかるんだから、解体費用はこれくらいかかって当然なのだろうか?
その後数日経って、竜二さんから再び電話が。
「いつから工事入ればいいんだ?もう見積もりは送っただろうに。
うちも結構忙しいから急に言われても入れないからな。」
「あっ。ゴメンナサイ。いま姉と相談してる所なのでもう少し待ってくませんか?
あと、言い難いんですが、まだ工事をお願いするとはお伝えしていないはずなんですが…。」
「あ~。そうか。見積もりを出させておいてそう来るか。じゃあ、やらないんだな?」
「いやいや!そうじゃないんですが、もう少し考える時間が欲しいんです。」
「別にいいけどよ、来月以降になったらその金額じゃあ出来なくなるぞ。
近頃、廃材の処分費用は日々上がってきているからな。」
「はぁ……。二週間くらいで連絡するので、もう少し待っていただけませんか?」
「わかったよ。じゃあな、連絡待ってるから」
あ~。随分乱暴な言い方だなぁ。やっぱり解体屋さんってちょっとコワイ。
しかし、どうしよう。今更断るわけにはいかないかなぁ。